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インタビュー医療・社会福祉法人

【インタビュー】社会福祉法人ミッドナイトミッションのぞみ会様 

理念を伝える・体現する ~組織は相互理解~
社会福祉法人 ミッドナイトミッションのぞみ会 
木下 宣世理事長


ミッドナイトミッションのぞみ会は、戦後の女性宣教師による活動(「真夜中の宣教」=ミッドナイトミッション)を基盤とし、子ども、女性、高齢者、障害者を対象に幅広い事業を展開している。2024年に創立62周年を迎え、組織全体で世代交代の時期を迎えている。同会が掲げるキリスト教に基づく理念を職員にどのように伝え、体現してもらうのか、その取り組みについて木下理事長と西尾常務に伺った。

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ー成り立ちを教えてください。
木下理事長:
戦後の混乱期に、生計を立てるためにやむを得ず売春をしていた女性たちが多くいたんですね。そこで、賀川豊彦という牧師であり社会事業家が西ドイツの教会に援助を頼んだ。4つほどの団体が来日し、婦人宣教師であるライスウィッツとムンディンガーが昭和28年に横浜港についた。最初のうちは日本語の勉強をしながら、東京、千葉の盛り場へ行って伝道を開始し、そこから転身する女性らを受け入れる施設を東京に作った。ムンディンガーは、千葉県の女性身体障害者を受け入れた施設に通って、話をしたり、聖書を読んだりした。昭和31年に売春防止法ができ、政府は都道府県に最低一か所は婦人の更生施設を作ることを決定し、千葉県から施設を作って欲しいと要請があった。牧師や協力者で場所を探して富津町(現在の富津市)に受け入れられることになり、社会福祉法人を設立し、千葉県初めての更生施設である「望みの門学園」を作った。

ー始まりは困難な境遇にいる女性を救うことだったというわけですね。
木下理事長:
あの頃は日本全体が貧しく、宣教師なので伝道が目的で「神の愛を伝える」ということだったが、救出せざるをえなかった。社会福祉施設を建てることは当初考えていなかったが、必要に迫られてなのだと思います。

ーその後の事業展開について教えてください。
木下理事長:
老人ホームを隣の場所に作ることに。時代の流れや地域からの要請もあり、養護老人ホーム「望みの門楽生園」を設立。宣教師だけではまわらなくなったので、木下弘人(私の父)が一緒にやることに。楽生園に入ったお年寄りも高齢化が進み、今度は特別養護老人ホームが必要になった。障害者の施設も必要だとなり、就労継続施設を作った。創業の2人が高齢となり、新しい指導者として井本義孝(常務理事)がさらに施設を拡大していった。デイサービスを始め、こどもたちの施設を作ることに。(乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設)

ー理事長としての役割をどのように考えていらっしゃいますか。
木下理事長:
創業当初の精神を生き続けさせるのが理事長の役割だろうと思っている。職員研修の前に1時間、法人の理念、愛をもって他者に仕えるという話を繰り返ししている。それによってモットーを理解して実践して欲しいと願っている。それが自分の役割。「そんな歴史があったのか、と感心した」という感想を書いてくれる方がいる。
 理事長になって22年目、理事長になった頃は千葉市の教会で牧師をしていた。社会福祉の現場の仕事は職員にお任せしている。
 ただ、キリスト教の精神を伝える、というのはやるべき仕事と思っている。今は毎日職員の皆さんと接している。今も茂原市の教会で日曜だけ牧師をしている。

ー組織の課題についてどのようにお考えでしょうか。
木下理事長:
「愛をもって仕える」をモットーに利用者の方に対して、むしろ利用者の下に立って仕えていくというあり方であると話をしている。考えてみると、職員対利用者だけでなく、職員同士の関係もそう。職場の協力関係、信頼関係が大切。福祉の仕事は一人でやる仕事ではない、みんなで力を合わせてやる仕事。だから、組織をどう育てる、維持する、ためにはお互い同士愛をもって仕えるのが大切、と最近伝えるようにしている。組織は相互理解。問題になってくる施設は、これが足りていない。相互理解、協力関係。

西尾常務:
課題として大きいのは、60周年を経過して、今年度頭に中長期計画を法人として初めて作ってみようと昨年度みんなで作り上げた。 
 法人全体の計画としては8つの柱を掲げた。特に、理念の深化と利用者への支援にどのように反映させるか(実体化)、望みの門の利点は総合福祉施設であることが強みになっている。いかに連携して法人全体で地域や利用者の課題に取り組んでいけるのか。横連携していくことが課題。

ー人財定着のために力を入れていることはありますか。
西尾常務:
採用定着委員というものがある。法人横断的(高齢者、女性と障害者、児童の3福祉部ある)に推薦された中堅職員が、施設長クラスの目線ではなく一般職員の目線で採用や定着のためにどういうことをやったらいいかというのを月1回会議で話をしている。委員会レベルでできることなので、法人の制度までのことは難しいのですが、採用に関しては「採用もtiktokの時代だよ」という話があり、動画作成のためにもキャラクターを作ろうとなって、アイデアが50ほど集まった。今度12月14日にお披露目することになっている。
 他には、先ほど理事長が話されたような相互理解を深めるためにボーリング大会を委員会主催でやりましょうと。参加希望者が40人弱集まっている。交代勤務であることを考えると比較的多く参加してくれるのかなと。そういうことをきっかけに法人内に仲間ができて、自分たちでサークルを作ったり、プライベートな形で一緒に出掛けたりという人間関係ができていくと定着につながっていくのかなと。

ー人財育成で一番大切だと思っていることを教えてください。
木下理事長:
まずは福祉に関するスキルを身につけていただきたい、そして理念を体現できる職員になって欲しい。福祉は人間関係だなという風に思いますね。そういう意味でお互いに他者から信頼されるような職員に成長してもらえたらと思います。

西尾常務:
理念を基に人材を育成していくことだと思います。実際には施設長やその下にいる人たちが育成に関わってくれているのですが、個人的には福祉は気付く力が大事だなと思っています。

ー弊社の研修を導入してみていかがでしょうか。
木下理事長:
研修の感想文を読んで職員にとって「良い刺激になっている、新しい面を開いてもらっている」と捉えている。

西尾常務:
こちらの伝えたいこと、こういう仕組みでこうもっていきたいというねらいをきちんと正確に伝えられていないと思う中で、それをくみ取って研修の中に反映していただけるのはすごいな、プロだなと感じている。必ず研修の前に打ち合わせして、提案したり確認していただけて、非常に効果のある研修になっていると感じている。 
 職員も、育成面談制度をやり始めていて、こういう考え方で目標を立てればいいのではというヒントになっている。

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ミッドナイトミッションのぞみ会様インタビュー

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