【インタビュー】株式会社ミタホーム様
職員も利用者も“家族” 働くひとの心を満たす
株式会社ミタホーム 松木 利恵子副社長
ミタホームは、介護事業も展開している株式会社である。
小規模介護拠点を広げ、組織が大きくなる中で、組織作りが必要となった。本部を立ち上げて、職員一人ひとりが自分の家庭も大切にすることができ、利用者の “ 家族 ” として働ける環境をどのように
作っているかについて伺った。

ー成り立ちを教えてください。
創業者の小西会長が昭和44年に富山市で(有)ミタ薬品を設立。その後、不動産事業を始め、平成9年にミタホームに社号を変更した。富山市を中心にアパート業をしていたが、会長が「これからは介護の時代が来る」と15年前から介護事業に進出した。介護については素人集団だったが、不動産を紹介したお客様の中にケアマネージャーの方がいらっしゃったため、助言いただきながら事業を展開していった。
平成22年に1つ目の施設である「ありがとうホーム氷見」を開設した。その後、施設を増やしていき、現在は富山市・氷見市を中心に住宅型有料老人ホーム、グループホーム、地域密着型デイサービス等を展開している。
ー異業種から参入し、組織を拡大されましたが、その過程ではどのような課題があったのでしょうか。
平成28年に、富山市にサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)をオープンした。
しかし、ありがとうホームの理念に沿った介護ができていないのでは、ということで5年前に富山市に来て本部を立ち上げた(スタッフは松木副社長を含めて4人)。元は不動産業で、従業員30~40人の会社だった。1つの介護施設を作るたび、従業員が増えていった。
従業員を満足させるためには組織を作らないといけないと思い本部を立ち上げた。施設を任されている人たちだけでやるとつぶれる、必ず相談をしなさい、という組織を作っている。そのために、月1回のWeb会議や研修旅行で、まずは上の人たちの気持ちを固める。同じ方向に向くように。やっと今、5年かけてできあがってきた。
ー大きく組織をこの5年で変えてこられたのですね。
当初は人がいなかったので、会社で育てた人を次に送るということができなかった。
キャリア採用の施設長は違う色に染まっているので、前の会社でやっていたことをやってしまいがちである。従業員にとってこれまで施設長がトップだったが、本部ができて相談できる場所ができた。
今は1つの施設から育った人を管理者に上げているので、理念が生きている。
「これでいいのかな?」と自問自答することはいっぱいある。でも5年目になってみて、これでよかったなぁと思っている。
違う施設へ行った時、前の施設長がやっていたことを否定するのではなく、まずは受け入れていくことをやってほしい。他の施設へ行って、他の人の方法をやってみる、みんなが変われば、かき混ぜることになるのでは。そうすれば、管理者たちも成長できる。本人たちが勉強になると思ってくれれば。
本部では、施設長の事務的な仕事を担っている。
「施設長は利用者、スタッフを見なさいよ」と、「施設を任せる人を一人にしない。相談しなさい」と普段から伝えている。
最近は、LINEワークスを使って、職員・医師・看護師が連絡を取り合えるようにした。入居者の様子や治療の経過などを写真付きで共有している。夜勤は一人体制のため、何かあった時に「一人じゃない」と思えるような体制にしたかった。私もLINEを見ていて、スタッフが利用者に対して真摯に対応している様子に、本当にありがたいなぁと
思う。
ー介護に対する想いをお聞かせください。
施設に入りたくて入る入居者はいないんですよ。本当はみんな家で過ごしたい。でも、それができない。経済面や家族状況からケアマネージャーと家族に決められてしまう。
家族に見放された、家族を見放したという自責。そういったものがどうしても発生して
しまう。だから、私たちスタッフが“家族”として一緒に過ごす。
入居者様から「あなたがいるから安心だわ」と言って頂けた時が一番うれしい。
入居者様には、ここで「楽しい」と思ってもらわないと、介護施設の意味がない。
ー職員の定着についてどのようにお考えでしょうか。
色んな人が働いている。子育てや介護などによりフルタイムで働くのが難しい人や、
正社員として働きたいけれど実現が難しい人もいる。それぞれの悩みをくみ取れるようにしている。家庭環境はそれぞれあり、働きたくても満足に働けないこともある。
家庭が1番、会社は2番。なるべく一人ひとりの家庭を守る。従業員の心を満たす。
そのことを念頭にシフトや異動を考えている。
ー月1回のイベントについて詳しく教えてください。
11月は運動会を実施した。去年から始めていて、去年は60人くらいだったが、今年は 140人くらい参加していただいた。今年は家族も呼んでいただいて。旦那さん、お孫さんも。
大事なことは、家族が応援してくれることなんですよ。この会社いいね、と。
「私もこの会社入ろうかな」と入社してくれる家族もいる。
もちろんスタッフには仕事があるので、職場に残るスタッフたちもいる。
職場の同意がないと休めない、でもそうやって協力し合っていくのもひとつかな。
みんなが楽しむ姿を見るのが嬉しい。日頃の会長からの教え「人の喜び我が喜び」を心にとどめ、スタッフや家族を喜ばせる事を毎月のように企画している。参加費は無料で、
従業員と元従業員が今もつながったり、交流したりしている。
仕事だけでなく遊びも、会社の愚痴も文句も言ったっていい。寝食共にして。言える場所があるというのがいいのかなと。
ー人財育成で大切にしていることは何でしょうか。
200人のスタッフがいて、この子に任せてみたいという子はなかなかいない。主任を
任せると、何かしなきゃいけないと思う人もいる。
最初に主任になる時に「今のあなたがいいから主任になるんだよ」と伝えている。
やる気のある子は伸ばしたい。少しずつ役職を増やして育てている。ある程度上になると、自分の身を守りたくなる。自分の仕事を渡したくない。下の子を育てようとしない。育てると自分の地位がなくなると勘違いする人もいる。
その人自身は仕事ができるが、人を育てる能力がない人もいる。
仕事を渡して初めて人が育つ。だからそういう人を育てたい。
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