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福祉・医療法人トピック

【福祉トピック】施設長・園長が変わると、現場は変わる ―福祉現場で行動変化を引き起こすには―

施設長・園長の行動が変わると、現場がどう変わるのか

まずお伝えしたいのは、施設長・園長の行動が変わると、現場が変わるということです。

具体的には、
・職員が何のために業務に取り組むのかが明確になる。
・業務の目標や期限が明確になる。
・業務の進め方が明確になる。
・職員と利用者様や職員同士の関わり方が変わる。
・職員のやりがい、働きがいが高まる。
・職場の雰囲気が良くなる。   等、多くの影響があります。

こうした「現場の変化」は、施設長・園長の関わり方の軸がはっきりしたときに、
特に顕著に現れます。

ごく身近な例を挙げると、ある施設長はこんな課題を抱えていました。
例えばある施設長は、「相手に強く言われると判断が揺れ、気づけば相手の意見に流されて
しまうこと」が続いていました。
それにより、判断が場当たり的になり、施設の運営が不安定になっている時期がありました。

ところが、ある関わりを経て、最近では渋る職員に対してこう返せるようになりました。
「その気持ちは理解しています。ただ、今日はここまでが必要な対応です。」
また別の日には、「それは無理です」と不満げな表情の職員に対し、落ち着いてこう声を
かけています。
「まず事実を確認しましょう。具体的にどこが難しかったのでしょうか?」

このように施設長が判断と対応を安定して行えるようになり、現場を動かせる場面が増えて
いきました。
その結果、チーム全体の動きも落ち着き動きやすくなっていったのです。

なぜ、変化が起きたのか?

変化が起きた理由は、本人の内側の整理が進み、「自立・自律して動ける土台」が整ったから
と言えます。
・判断の根拠が、相手の感情ではなく自分の軸に置き換わり主体的に判断できるようになった。
・事実・感情・解釈を分けて考える視点が育ち、強い言い方に巻き込まれず自律した対話が
できるようになった。
・優しさの使いどころが整理され、迎合ではなく目的に沿った調整ができるようになった。
これらは努力で無理に変わろうとしたわけではありません。
内側が整理され、“自立・自律した組織人としての思考”が整った結果、変化が起こり自然と
行動が変わったのです。

実は、この変化は “コーチング” という関わりの中で生まれたものでした。
「指導」や「技術指導」とは異なり、コーチングは、外から正解を押しつけるものではあり
ません。
本人の考え方や受け止め方を、対話の中で丁寧に整理し、本人が本来もっている力を紐解き
ます。
そのプロセスの中で、迷いの減少、判断の安定、対話の質の向上が起こりやすくなります。
そしてこれは、数回の継続はもちろん、一度の対話でも次の一歩につながる“気づき”が
生まれることがあるのが特徴です。

コーチングとは何か?

「コーチングって答えを教えてくれるの?」「どう振る舞えばいいか指導されるの?」
そんな声を耳にします。
実際に、コーチングとは“その人が自分の力を発揮し、目標に向かって進めるように、対話を
通じて支援するプロセス“のことを指します。

ただ、決まった型があるわけではありません。
強みを伸ばしたい人、苦手を整えたい人、自信をつけたい人など、本人が望む方向性に応じて
コーチングの焦点や問いかけの方向は変わります。

例えば、衝突しがちなことを改善したい人には“相手を理解しながら伝える視点”が育ち、頼り
すぎてしまうことを改善したい人には“自分で判断するための根拠”が整理されます。
完璧主義を改善したい人には“優先順位をつける柔軟さ”が、感情を出せないことを改善したい人

には“内側を言葉にする力”が身につき、少しずつ行動や関わり方が変化していきます。

いずれも外から指示されて変わるのではなく本人の内側が整い、自立・自律の土台が育つ
ことで自然に動き出すという共通点があります。

結果として迷いが減り、職員が自分で動ける場面が増え、現場の動きが安定していくことに
繋がっていきます。

ここからは、変化の流れをよりイメージしやすいように“現場でよく見られる傾向をもとに
構成したケース” を紹介します。

特定の個人を描いたものではありませんが、福祉現場で実際に起こりやすい変化の流れを
モデル化しています。

現場でよく見られる“代表的なパターン”

-優しすぎて、つい譲りすぎてしまう管理職のケースー
◆Aさん(施設長):優しいゆえに“譲りすぎてしまう”悩み

Aさんは、周囲から「優しい」「聞き上手」と言われる施設長でした。
相手の気持ちを尊重したい、という姿勢は本来とても大切な強みです。
しかし最近、こんな場面が増えていました。
頼みごとをすると「今は無理です」と返され、結局こちらが折れてしまう
・話し合っているつもりが、気づけば相手の意見のままに落ち着いてしまう
・「相手を不満にさせたくない」が先に立ち、必要な線引きが後回しになる
・周囲から「職員のわがままに引っ張られているのでは」と心配される

Aさん自身も葛藤していました。
「このままでは、施設全体がゆるくなってしまうのでは……」
「本当はもっと、こうしてほしいのに言いにくい」

優しさが強みのはずなのに、気づくと “自分を後ろに引っ込めてしまうコミュニケーション”
になっていたのです。

コーチングで生まれた変化
― 行動と対話の質が、少しずつ変わっていく ―

コーチングを通じて、Aさんには2つの大きな変化が生まれました。

● 変化①:管理職としての判断軸が明確になり、役割に沿った線引きができるようになった
以前のAさんは、職員から「難しいです」と言われると、
「じゃあ無理にお願いしなくても…」と、心のどこかで引いてしまう傾向がありました。
しかし最近では、渋る職員に対しても落ち着いて、こう話せています。
「その気持ちは理解しています。ただ、今日はここまでが必要な対応です。
どこが難しいのか、一緒に確認させてください。」

これは、“施設長として守るべき基準” と “相手への配慮” を両立して伝える力が育った結果です。
そのため、判断の基準が明確になり、揺れにくくなっていきました。

● 変化②:相手の感情や強い言い方に巻き込まれず、事実で対話できるようになった
もう一つ大きかったのは、職員の不満げな表情や強い言い方に気圧されにくくなったことです。
以前は、相手の表情を見た瞬間に気持ちがざわつき、本来必要な説明ができなくなることが
ありました。
今では、反発があっても落ち着いてこう返せています。
「まず事実を一緒に確認しましょう。具体的にどこが難しかったのでしょうか?」
ここで育っているのは、“感情に飲まれず、冷静に状況を把握できる思考の整理力” です。

なぜ、このような変化が起きたのか?
― 行動を変えようとしたのではなく、“施設長としての自律性が育った”から ―

Aさんの変化を支えたのは、3つの“自立・自律した判断と行動の土台づくり”でした。

判断の根拠が「相手の感情」から「自分の軸」に戻り主体的に判断できるようになった。
コーチングの対話の中で、Aさんが大切にしている価値観や、管理職として守るべき基準が
言葉になり、「どこは相手に合わせられて、どこは譲れないのか」が整理されました。

事実と感情を切り分ける思考が育ったち、強い言い方に巻き込まれず自立した対話ができる
ようになった。
Aさんは、相手の雰囲気に気持ちを持っていかれやすい傾向がありました。
そこで「事実」「感情」「解釈」を分けて整理する視点を取り入れた結果、相手に巻き込まれ
にくくなりました。
優しさの使いどころが整理され、迎合ではなく目的に沿った調整ができるようになった。
「優しさ」はAさんの強みです。
しかしその使い所が整理されたことで、職員に振り回される優しさではなく、役割・目的を
果たすための優しさに変わりました。

こうして、Aさんの行動は無理なく自然に変わっていったのです。

 理事長・理事・事務局のみなさまへ
“一度のコーチング”でも本人が自律して動けるきっかけが生まれます
施設長・園長の育成に悩んでいても、「いきなりコーチングを継続して受けさせるのは
ハードルが高い」と感じる方は少なくありません。
そこで今回、“一度だけのコーチング” をオプションとしてご用意しました。
たった一回でも──
・判断が揺れる根本原因
・感情に巻き込まれるポイント
・強みが裏目に出ている理由
といった “本人では気づきにくいクセ” に気づくことがあります。
この気づきは、上司がどれだけ丁寧に説明しても届きにくい部分ですが、第三者との対話
だからこそ腑に落ちるのが特徴です。
一度の対話でも次の一歩につながる“気づき”を得られることもあります。

3者で進めるコーチングだからこそ
依頼主・受講者・コーチの三者で進めるスタイルを取り入れています。
本人の課題だけでなく、法人としての期待や方向性も共有したうえで進めるため、気づきが
“現場での行動”につながりやすく、戻ったあとに法人との認識のズレが生まれにくいのが特徴です。

また、コーチングの中では本人が感じている迷いや解釈も明らかになり、「法人からの期待を
どう受け止めているか」を三者で確認できる点が大きなポイントです。
一方的に伝えるのではなく、本人の理解・捉え方とのギャップをすり合わせる対話が行われる
ことで、同じ方向を向いて現場に戻れる土台が整います。

最後に
施設長・園長が変わると、現場は変わります。
ただし、その変化は「教え込む」ことで起きるのではなく、本人の内側が整い、自立・自律の」
土台が育つことで自然に動き出すのが特徴です。
皆様の現場でも、こうした小さな前進が積み重なることで、チームが少しずつ自走しやすい
状態に近づいていくはずです。

まずは“小さな前進のきっかけ”として公開講座をご活用いただければと思います。

~現場のマネジメント、できていますか?BLSがお手伝いします~

【施設長・園長対象】2月6日・16日実施 マネジメント実践プログラム


【本事例に対するお問い合わせ】電話:03-6231-1670 本ページ右上「Contact us お問合せ」より 
事務局:社会福祉法人担当 まで

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