【福祉トピック】(第6回)理念を仕組みに落とすには? ~キャリアパス~
多くの組織で「理念はあるのに、日常の支援や職員の行動にまで落とし込まれていない」という声を
耳にします。
その要因の一つは、理念を支える人材像・職責・評価・育成・報酬の仕組みが整っていないことにあります。
理念を掲げるだけでは、現場の行動は変わりません。
理念を「制度」という形にして支えることが、真の浸透につながります。
そして、具体的なキャリアパスを示すことが大切です。
キャリアパスとは、職員がどのような経験を積み、どのように成長していくかを示す「道筋」です。
理念を軸にキャリアパスを整えることで、職員一人ひとりが「この法人で育つ意味」を実感できるように
なります。
例えば、
・新人時代:理念に基づいた支援姿勢を理解し、日常の支援に活かす
・中堅時代:チーム全体で理念を共有し、実践を広げる
・管理監督者時代:理念を軸に組織、職場マネジメントを行う
などです。
また、理念を行動に結びつけるには、等級制度・昇降格基準・評価制度・報酬制度の合致が不可欠です。
・等級制度では、理念に基づいた求める人材像を職責ごとに定義し、役割とレベルを明確にする
・評価制度では、理念に基づいた行動指標を明確化し、面談やフィードバックを通して成長を支援する
・報酬制度では、評価結果を正当に反映させ、理念に沿った行動を「価値あるもの」として示す
この3つを連動させることで、「理念に基づいて行動する人が報われる」文化が生まれます。
といった要素は、多くの組織で共通して求められる資質です。
今回は、各組織向けの「チェックリスト」と「事例」をご用意しました。
まずはチェックリストをご確認ください。
そのうえで事例を読んでいただくと、自組織の状況に照らして、より具体的に読み進めることができます。
++++++++【 理念を“仕組み”にできているかチェックしてみましょう】++++++++
① 求める人材像
□自法人の理念・使命に共感できる人材像を明確にしていますか?
□行動レベルで示せる「ありたい職員の姿」が定義されていますか?
□採用担当者や現場リーダーと人材像の共有ができていますか?
② 受け入れのためのキャリアパス
□入職直後から管理職までのキャリアステップが可視化されていますか?
□キャリアパスに沿った研修・育成計画が設定されていますか?
□職員が自身の成長方向性を理解できる仕組みがありますか?
③ パフォーマンスを確認する評価制度
□評価項目が人材像・行動指標と連動していますか?
□定期的にフィードバックや面談を実施していますか?
□評価結果が育成・キャリアプランに反映されていますか?
④ 評価が反映される賃金制度
□評価と報酬が連動しており、期待と成果が一致していますか?
□賃金制度の仕組みが職員に理解されており、公平性が保たれていますか?
⑤ 中長期的な全体整合
□人材像・キャリアパス・評価・賃金制度のすべてが合致していますか?
□10年後の組織像を踏まえ、必要に応じて制度を見直す計画がありますか?
□各制度が現場の声と連動し、理念に基づく支援の質向上に貢献していますか?
<利用上のご注意>
本チェックリストはあくまで参考資料です。内容の適用や判断は各組織の責任で行ってください。
最新の法令・制度変更に必ず注意し、必要に応じて情報を確認のうえご活用ください。
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制度を整える第一歩:構造を共有する
理念を仕組みに落とし込むには、まず管理・企画部門が全体像を理解し、制度設計の土台を整えることが
重要です。
採用・育成・評価・処遇といった人材マネジメントの構造を整理し、各制度のつながりを明確にすることが
出発点となります。
実際にこのプロセスを実践しているのが、社会福祉法人千葉市社会福祉協議会様です。
同法人では「人材マネジメント検討セミナー」を導入し、職員のキャリア・役割・制度の全体像を整理する
機会をいただきました。
詳細はコチラ
この取り組みを通じて、人材マネジメントの構造を共有化し、制度設計の方向性を明確にすることができた
ようです。
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BLSでは、人材像の明確化からキャリアパス設計、評価・賃金制度の整備まで、理念を「仕組み」に落とし込む支援を行っています。
「理念が現場に浸透しない」「キャリア形成の仕組みを整えたい」
そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
~現場のマネジメント、できていますか?BLSがお手伝いします~
【福祉組織対象】 11月13日(木)実施 福祉現場マネジメント基礎講座
この連載では、6回にわたって、現場から聞こえてきた声と、それに応えようとする工夫や取り組みを紹介してきました。
「自分たちならどうするか」を考えるヒントとして、ぜひご覧ください。
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